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正解はひとつじゃない。“変化する子育て”の選択肢を伝える「講談社コクリコ」
子育て世代のママパパから注目を浴びている、Webメディア「講談社コクリコ」。
“子どもの伸びやかで健やかな成長を願う保護者と、とどまることを知らない子どもごころ”を応援する情報ポータルサイトです。
・正解のない、子育ての困りごとに寄り添う情報サイト「コクリコ」
・子どもの知的好奇心を刺激する、新時代の“遊べる”図鑑「講談社の動く図鑑MOVE」
・日本中の親子を「げんき」に!1歳半から3歳を中心とするお子さんと、保護者に向けた情報サイト「WEBげんき」
・ヒーローのことなら何でもハイシン!ヒーロー雑誌「テレビマガジン」の大人向け記事サイト「TELEMAGA.net」
・かわいい! キラキラ! が大好きな小学1〜3年生のための、初めてのファッションマガジン「Aneひめ.net」
の5つのサイトと、
・5サイトを横断してもっと楽しむための無料会員サービス「講談社コクリコCLUB」
で構成されています。
コロナ禍を経て、更に多様化する今の子育ての中、赤ちゃんから小中学生までのお子さんを持つ幅広い世代の保護者から支持・共感を得ているメディア作りの考えとは?
編集長の塩見亮さん、事業チームの服部徹さん、大矢真史さんにお話を伺いました。
塩見亮(しおみりょう)※写真中央
株式会社講談社 第三事業本部 こども事業本部長 兼 「コクリコ」編集長
2000年講談社入社。絵本、童話の編集部を経て、2018年より「げんき」編集長、2023年6月より「コクリコ」編集長を務める。
服部徹(はっとりとおる)※写真左
株式会社講談社 第三事業本部 こども事業部 「コクリコ」事業チーム 担当部長
1990年講談社入社。週刊誌の編集部を経て、オンラインマガジン創刊やポータルサイトの立ち上げなど、講談社のデジタル事業や会員サービスに創成期から携わる。2020年7月より「コクリコ」事業チームの担当部長を務める。
大矢真史(おおやまさし)※写真右
株式会社講談社 第三事業本部 こども事業部 「コクリコ」事業チーム 副部長
2005年講談社入社。「週刊現代」・「FRIDAY」の編集部を経て、2009年3月より広告営業を担当。2021年6月より現「コクリコ」事業チームの前身に担当副部長として異動し、 2023年6月より「コクリコ」事業チームの副部長を務める。
【無料会員サイト「講談社コクリコCLUB」】https://cocreco.kodansha.co.jp/information/
【情報サイト「コクリコ」】https://cocreco.kodansha.co.jp/cocreco
【新時代の図鑑「講談社の動く図鑑MOVE」】https://cocreco.kodansha.co.jp/move
【日本中の親子を「げんき」に!「WEBげんき」】https://cocreco.kodansha.co.jp/genki
【ヒーローのことなら何でもハイシン!「TELEMAGA.net」】https://cocreco.kodansha.co.jp/telemaga
【かわいい! キラキラ! が大好きなみんなへ「Aneひめ.net」】https://cocreco.kodansha.co.jp/anehime
【コクリコ公式 X】https://twitter.com/cocrecoOfficial
【コクリコ公式 Instagram】https://www.instagram.com/cocreco_official/
【コクリコ公式 YouTube】https://www.youtube.com/@cocrecoOfficial
聞き手:株式会社コンテンツデータマーケティング(CDM) 上野・轟
子育ての問題解決と、上質な子育てエンターテインメント
– はじめに「講談社コクリコ」とはどんなメディアだとお考えですか?
服部さん:
子育ての問題解決と、上質な子育てエンターテインメントを提供するメディアです。
大矢さん:
上質が指す意味は“きちんと専門家や著者に取材して記事を作っている”ということ。
ネットによくある、“こんなことがあった”に対しての“わかる!・ひどい!・スカッとした!”のような共感だけを重視したメディアとは一線を画しています。
塩見さん:
しっかりとした“本”を出している講談社が作っている、ということも、そもそもの上質さのベースにあります。
– 読者・ファンをどんなペルソナと捉えていますか?
服部さん:
「講談社コクリコ」は5つのメディアで構成(23年9月現在。24年春までに7メディアに増加予定!)されているので、それぞれに違いがあり、一貫したファン層の定義というのは難しいですね。
塩見さん:
例えばヒーローを扱う「TELEMAGA.net」は昔からヒーローものが好きな中年男性が主で、7割がAndroidユーザーだったり。
大矢さん:
「コクリコ」は子育て世代の保護者の方がメインです。
5つのメディアにまたがるからこそ、会員サイト「講談社コクリコCLUB」で各メディアを横断して、それぞれのファンの属性を捉えて分析していきたいと思っています。
塩見さん:
ゆくゆくは「講談社コクリコ」自体に信頼性の高いファンをもっと増やしていきたいと思っていますが、それは少し先の話。まずは人気作家さんや作品のファンコミュニティ作りや、児童文学作家を目指す層に向けたアプローチを模索中です。
イベントを通して感じた、エンゲージメントの高いファンがいるという手応え
– 実際に今、読者・ファンに向けて取り組まれていることを教えてください。
大矢さん:
昨年12月に、「講談社児童文学新人賞」受賞作家オンライン座談会というイベントを開催しました。
2021年に受賞された3名の作家さんと講談社児童図書編集チームの編集長が登壇し、創作のコツや応募作における注意点、作品作りの苦しみやワクワクをリアルに伝えてくれるという内容で、600名を超える応募がありました。
通常無料イベントだと応募者の内の5割が実際に参加すれば成功と言えますが、このイベントでは7割以上が参加。事後アンケートでも熱量の高いご意見をたくさんいただき、事前アンケート回答と比べたところ、実際に作品を書いて新人賞に応募してみたい、という方の割合が1.5倍以上に増えていたことも印象的でした。
このイベント開催を通して、やはり「コクリコ」というメディアには「人・作品・メディア自体」に対して非常にエンゲージメントの高いファンの方達がいるんだ、という強い手応えを感じています。
– 他にも反響の大きかったコンテンツはありますか?
大矢さん:
榊原洋一先生という、子どもの発達障害研究の第一人者であるお医者様によるセミナーシリーズ、「子どもの発達を知ろう」も非常に反響が大きかったです。
保護者の方の不安ごとや事前に募集した質問に対して先生に答えていただく内容で、昨年6月から今年の7月までに全7回開催。のべ3,000名以上の応募があり、子育て中のママを中心に応募者の内6割もの方に実際にセミナーに参加いただけました。
必要なのは“切実なニーズ”か“強力なロイヤリティ”
– 会員サービス「講談社コクリコCLUB」の運営にあたっての課題は何ですか?
服部さん:
会員組織を運営していくのに絶対必要なのは、“切実なニーズ”か“強力なロイヤリティ”。
「コクリコ」で言うと例えば、“切実なニーズ = 子育てにまつわるお悩み”、“強力なロイヤリティ = 人気作家”といったことが挙げられます。
ニーズとロイヤリティがうまくマッチすれば実用と世界観の両立が実現する、それが理想です。でもどちらか片方だけでも見つけられれば、現会員からのより深い支持や、新しい会員の開拓に繋がると思っています。
– コロナ禍や時代の流れを経て、今保護者の方のお悩みはどのように変わってきていると感じられますか?
大矢さん:
そもそも「コクリコ」は2021年3月のコロナ禍にスタートしたメディアなので、コロナ前との比較は難しいですが……。これまで講談社では、子ども向けの本は多く出してきたものの、保護者向けの本というのは実は少なかったのです。なので、この2年間で初めて保護者の方とちゃんと向き合いました。
ママの復職支援をするサービス「AnyMaMa(エニママ)」さんと一緒に「コクリコラボ」というグループインタビュー企画をやっていて、そこでママの皆さんの日々のお悩みや考えを直接伺う中で思うのは、現代の子育てのスタイルは広いな、ということです。
服部さん:
編集部にも子育て中のスタッフがいます。
コロナ禍に立ち上がったメディアだったので、オンライン会議の背景にお子さん達が映ったり、オンラインでの取材に対する周囲の理解も当たり前で、非常に風通しの良い環境になりました。コロナ禍だからそうせざるを得なかったけれど、コロナが収まってもこのスタイルは続けていきたいです。
ママスタッフ達が、自分の困りごとを自分のメディアを使って解決できるようにして欲しいと思っています。
– 確かにコロナ禍は「家にいたまま仕事ができる」環境が当たり前になった、というプラスの要素も残してくれましたよね。
子育てに正解はひとつじゃない
– コロナ禍が落ち着いて、海外への教育留学の動きも活発になっていると聞きます。
塩見さん:
特に海外事情を意識して研究しているということはないですが、子育ての悩みや問題意識に答える記事を作ろうとしている中で、当然そういう方向の記事も出てきています。
大矢さん:
「コクリコ」では、コロナ禍中の教育移住に関する取材や、現地の方に聞いた海外の子育て事情、新しい取り組みをしている意欲的な日本の公立校等、多様な子育てのあり方を発信しています。
誰かに何かしらの“こういうやり方もあるんだ”というヒントを与えるメディアであるために、答えを決めつけずに紹介していきたいです。
服部さん:
子育てに正解はひとつじゃありません。
学校に行かなくても学べるし、友達が100人できることだけが偉いわけではない。そういうことを含めた多様な価値観の中に、国内外問わず、必ず何かの選択肢があるということを伝えたいです。
– コロナ禍で育児の悩みを共有できる場がなく、孤独を感じていた保護者も多いかと思います。自粛ムードも一旦終わり、リアルでのイベントも考えられていますか?
服部さん:
夫婦共に働くことが当たり前になっても、ワンオペ育児の状況は相変わらずです。住んでいる場所が遠かろうと子どもが泣こうと、なんなら食事や歯磨きをしながらでも親子で参加できるのがオンラインのいいところ。
リアルももちろん開催したいですが、オンラインイベントも続けていきます。
課題はバラバラの属性を持つ会員の切り分け
– 「講談社コクリコCLUB」では、CDMのソリューション「Uniikeyz」を導入しています。
導入して良かった点はありますか?
大矢さん:
2022年3月の「講談社コクリコCLUB」スタート時から利用していますが、「コクリコ」「講談社の動く図鑑MOVE」「WEBげんき」「TELEMAGA.net」「Aneひめ.net」の5メディアを横断した会員の仕組みを、一気通貫で作れたのがまず良かったことです。
– 会員データのどこを重要視されていますか?
大矢さん:
5つのメディアがワンパッケージになっているので、ひとつの会員組織の中にバラバラの属性を持つ会員が集まっているのが課題です。一口に男性会員と言っても、子育て中のパパ、ヒーロー好きの大人の男性、恐竜好きの子ども等さまざま。
それぞれをちゃんと切り分けて分析しないといけないけれど、現状まだ切り分けられていないし、セグメントに対して有効なアプローチが出来ていません。
そこを今後「Uniikeyz」の力を借りて実現していきたいと思っています。
従来型の広告とは違う、新しいやり方の発見
– プライバシーデータ法規制が進み、従来のやり方での広告収入は出版業界全体として減少していると言われています。「講談社コクリコCLUB」では、今後のマネタイズをどのように考えていらっしゃいますか?
大矢さん:
すべての広告収入が期待できなくなっている訳ではないですが、そのためにマンパワーで大量の記事を作って、ひたすらPVを稼ぐ、というやり方はもう持続可能でないと思っています。広告収入はあるところまでは取れますが、そこから先はブレイクしていかないので、それ以外の収入源を見つけることが必要です。
チャレンジの一つとして、会員サービスやファンビジネスを既に始めていますが、会員向けのセミナーや講座等の有料サービスの開始も考えています。
塩見さん:
大きな意味での事業収入を高めるために、企業と組んでのイベント開催や、「Uniikeyz」で蓄積した会員データを活用した広告的な動きを検討しています。
来年からまずはイベントを皮切りに、“課金する何か”に挑戦していきます。
服部さん:
まずはスモールスタートさせてみて、結果を分析しながら今後の大掛かりな企画の準備をしていきたいです。
大矢さん:
雑誌メディアの強みは、メディアを信頼し、お金を出して買ってくれる層に対してメッセージをちゃんと届けられること。そこは今も変わっていません。
「講談社コクリコCLUB」のファンをちゃんとセグメントして、理解を深めていけば外部企業とのコラボレーションのチャンスも自然と生まれてくるはずですし、既にいくつかそういった事例も走り始めています。
例えば大企業だと、テレビCMでマスに向けて大々的に広告を打つことは出来ますが、逆にニッチな層には届かなかったりする。そこが、雑誌発のメディアならコアなファンに届けることができる。従来型の広告とは違う、新しいやり方があると思っています。
– 最後に、これからへの思いをお聞かせください。
服部さん:
「講談社コクリコCLUB」をファーストゲートとして、子育ての悩みをきっかけにママパパがまず会員になり、子どもが読み聞かせからひとり読みに成長していく間もずっとコンテンツやサービスのファンでいてくれて、そのうち子ども自らが講談社の児童文学やマンガを手に取るようになっていく。
そんな流れを作って、0歳から100歳までの末永い講談社ファンを獲得するためのスタートラインになる会員組織に育てていきたいです。
– 私自身も子育てに悩める「コクリコ」読者です。
「子育てに正解はないし、多様な価値観があっていいんだよ。」という温かいメッセージがより多くのママパパに届くように、CDMとして尽力したいと思います!(上野)
– 末永い講談社ファンの獲得に少しでも貢献できるよう、今後の新しいチャレンジも全力でサポートさせていただきます。本日は貴重なお話をありがとうございました。(轟)